医療被曝について考えてみる

今回は医療における放射線被曝について考えてみようと思います。まず現在の医療で、放射線を用いるものに何があげられるか見てみましょう。画像検査としてX線検査・CT検査・核医学検査が、治療として心臓カテーテル・がん治療にも放射線が用いられます。こう見ると、今日の医療で患者さんの診療の為には、放射線は必要不可欠だと言えます。病気の発見・病気の状態を知る・治療の為と様々な目的に用いられます。目的・診療する部位によって量も様々ですが、少量と言えども無害とは言い切れないのも正直な所でしょう。原発事故等の影響もあり、嫌がる患者さんが少なからずいるというのもまた事実です。とはいえ、今のところ早期発見・治療効果などの有益性もあります。放射線量が、がんのリスクを増加させるかどうかについてはまだ未解明です。放射線というのは、宇宙・地面・空気少なからず放射線は出ています。地上で普通に生活をしていても年間で2mSv程度は自然に被曝しているとされています。例えば東京・ニューヨーク間を往復した場合、胸部X線検査で1枚分撮影した際の被曝量と同等くらいです。さて、医療被曝の線量は国際的な規制は設けられていません。というのも、線量が単に少なければ良いというわけではなく、必要な検査結果や治療効果が得られなければならないからというのが理由にあげられます。被曝のリスク・風評被害を恐れて検査をしないと病気発見が遅れたり、治療のタイミングを逃す事も考えられます。放射線診療に関係する医師や診療放射線技師が放射線被害に対する十分な知識を持ち、診療上必要な被曝しかさせない事、患者さんの被曝線量を常に減らす努力をしている事が重要になります。被曝というデメリット、早期発見・治療というメリットを天秤に掛けて、十分な配慮のもと医学的に検討する必要があると言えます。