大腸X線・内視鏡検査

日本における大腸がんの死亡数は、臓器別で男性が第3位、女性で第1位、総合では第2位に位置している。今後も、死亡数・罹患数ともに増加していくことが予想されている為、我が国の重大な健康問題の一つだと言っても過言ではない。
厚生労働省の提示している「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針について」によると、40歳以上の男女を対象として、原則年に1回の便潜血検査免除法による健診を行う事(FIT)・精密検査法の第一選択は全大腸内視鏡検査をする事(TCS)・精密検査としてTCSを行うのが困難である場合はS状結腸鏡内視鏡検査(FS)と注腸X線検査(BE)の併用法を実施するという事が明記されているのだ。
さて、この便潜血検査を用いた大腸がんの検査であるが、有効性の証明がなされている。大腸内視鏡の中でFSの有効性も同様で、直腸からS状結腸の観察が行えないFSがあった場合でも、1回の検査で検査後およそ10年間の大腸がん死亡リスクが半分に減少するという報告が挙がっているのだ。
便潜血検査の際、TCSでの偶発症のリスクがわずかながら存在する。その中でも主なのが大腸穿孔と出血であるが、全国調査で偶発症の頻度は0.012%、死亡率は0.00082%となっている。リスクがごくわずかとは言え、対策を講じる必要があるといえるだろう。こういった不利益に対して、受信者全員に事前のインフォームドコンセントを行う・同意書をきちんと得ておく・万が一偶発症が発生したときに適切な処置が行える体制を整えておく等の対策を整えておくことが求められている。
任意型の健診である人間ドックの大腸がんスクリーニングに、便潜血検査・制度の高い画像検査である内視鏡検査。そして今後は大腸X線検査として体調CT検査がBEにとって代わる存在になってくることが予測される。
今日の日本は、大腸がんの罹患数が第1位となっている。この先、さらなる人間ドックにおける大腸検査として内視鏡を中心としたスクリーニング法が普及していくことだろう。そして、大腸がんの早期発見・早期治療が盛んになり死亡率の減少につながっていくことを期待したいものである。