免疫電気泳動 

血清に含まれているタンパク質は微量の電気を帯びており、そこに弱い電流を通すと同じ種類のタンパク質が決まった場所に集まるという性質を持っている。こうすることで、タンパク質を種類別に分類することができるのである。そして、その分量を調べることで病気の診断確定に役立てているのである。この検査方法の事を「免疫電気泳動」という。

ただし、この方法だと微量のタンパク質は測定ができない。そこで、寒天内抗原抗体反応という免疫学的な方法を組み合わせることがある。こうすることで、微量のタンパク質も検出できたり、γグロブリンを種類別で測定することが出来たりするのだ。これが、免疫電気泳動で異常値があった際にさらに詳細に調べる検査なのである。

血清タンパクの増減を調べることで、感染症・がん・免疫異常・造血器の病気・肝臓病などの診断確定に役立てることが出来る。特に「多発性骨髄腫」の発見時には非常に役立てられている。タンパク分画の検査時、多発性骨髄腫特有のM字型の曲線が現れることが知られている。その曲線部分の免疫グロブリンを詳細に知る必要がある為、このようなときに検査を行うのだ。この検査結果より、lgA型・lgM型・lgG型の内どのタイプの多発性骨髄腫に該当しているのか、加えてその場所の免疫グロブリンの定量はどうなっているかといった事を知ることでより詳細な所見を得られるのだ。検査時間は採血のためおよそ1~2分といったところだろう。基本的には採血にて検査を行うのだが、尿検査より調査を進めることもあるようだ。

この検査より、それぞれの血清タンパクの動きを見極め診断確定に用いる。ただ、「用いる」とお伝えしたように、この検査だけでは病気の診断を行うことはできない。この検査から疑われる病気を絞り、その病気の診断に必要な検査を別途行うという流れになる。先ほどご紹介した多発性骨髄腫や悪性新生物(がん)をはじめ、悪性リンパ腫・高月病・急性肝炎・肝硬変・ネフローゼ症候群・感染症・薬剤アレルギーなどなど多くの病気がこの検査結果が異常値だった際に見えてくる病気だ。診断後は医師の指導のもと、治療を進めていくことになる。